知的財産制度Q&A



ヨーロッパの特許法に関して、詳しく掲載しているサイト等を教えてください。

ヨーロッパには、各国と特許庁と欧州特許庁(ヨーロッパ全体の特許庁)との2つがあります。日本特許庁のホームページには、それぞれの国の条文及び欧州特許庁の条約の日本語訳が記載されております。

参考情報:欧州特許庁(EPO) 欧州特許の付与に関する条約
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/epo/mokuji.pdf

ヨーロッパで公開された特許はどのように調査するのですか。

特許出願の公開公報を調査するには、欧州特許庁のデータベース(Espacenet)を検索する方法があります。欧州特許庁のデータベースは、英語での検索が可能です。また、Espacenetはパテントファミリーの検索や権利状況も確認できます。

参考情報:
欧州等:
esp@cenet:http://worldwide.espacenet.com/
欧州出願経過情報:
EPO Register Plus:http://www.epo.org/patents/patent-information/free/register-plus.html

有料ですが以下のような民間サイトもあります。
Lexis-Nexis
http://www.lexisnexis.jp/?a=g [レクシスジャパン]
http://www.lexis.com/ [lexis.com]
Delphion
http://www.delphion.com/ [デルフィオン・トムソンサイエンティフィック]

当社はフランスに研究所を有しており、そこで日本人及びフランス人の研究者が共同で行った発明があります。第一国出願を日本で行い、優先権を主張してフランスで第二国出願を行うことはできるのでしょうか。

フランス知的財産法では、出願人の居所又は営業所をフランスに有していること、かつフランスにおける先の出願による優先権が主張されていない場合は、フランス工業所有権庁に出願をしなければならないと規定されております。従って、今回のケースの第一国出願を日本で行うことはできません。

参考情報:フランス 知的財産法
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/france/chiteki_zaisan.pdf

欧州特許出願をする際に、どのような言語でいつまで欧州特許庁(EPO)に提出することが可能ですか?またフランスを指定したい場合でも英語の翻訳文で良いのですか。

出願先の国が欧州特許条約の締約国であれば、欧州特許庁に対して出願することも可能です。優先権主張の期限(12ヵ月以内)までに、欧州特許庁に対し、英語・フランス語・ドイツ語のいずれかの1つの公用語による翻訳文を提出することにより、38の締約国(2012年現在)に対して出願されたものとみなされます(みなし全指定)。

実務上、出願したいヨーロッパの国の数が少ない場合には、それぞれの国に対して出願するより経済的です。また、PCT出願の国内移行では、フランス、イタリア、オランダ等の一部の国では欧州特許庁経由のみでしか受け付けていません。

欧州特許庁に特許出願を行いたいのですが、優先権の期限内に翻訳文を準備する時間がありません。日本語による欧州特許出願をすることによって、優先権を確保することは可能でしょうか。

日本語で欧州特許庁に特許出願し、その出願日から2ヵ月以内に公用語の翻訳文を提出する方法も認められています(欧州特許条約規則3)。また、書類の記載不備命令を受けてから2ヵ月以内に提出することもできますので、最長、欧州特許出願日からから4ヵ月以内に公用語の翻訳文を提出できます。

参考情報:欧州特許庁 現行法令
http://iprsupport-jpo.go.jp/miniguide/pdf2/epo.pdf

この度、日本の特許出願を基礎とし、優先権を主張してイギリス及びフランスに特許出願をすることになりました。現地の特許庁に優先権証明書を提出する必要があると思いますが、証明書を電子的に提出することはできますか。

イギリスに関しては、デジタルアクセスサービス(DAS)を利用して優先権書類を電子的に提出することが可能です。フランスの特許庁はデジタルアクセスを利用していないため、優先権証明書は書面で提出する必要があります。尚、イギリス及びフランスの単独ではなく、欧州特許庁経由で出願してイギリス及びフランスでの権利を取得する場合は、優先権書類の電子的交換が適用されます。

参考情報:優先権書類の提出省略について
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/shutsugan/yuusennkenn_syouryaku.htm

欧州特許出願した場合、権利を取得したい国はいつまでに指定すれば良いのでしょうか。

権利を取得したい国の指定は、欧州特許権が付与された後となります。権利が付与された後、権利を有効化したい締約国に対して請求の範囲などをその自国の言語の翻訳文を提出することとなります。締約国でどのような言語の翻訳文が必要かは、「EPC締約国ロンドン・アグリーメント加入状況及び加入国の翻訳文提出要件」を参照してください。

参考情報:EPC締約国 ロンドン・アグリーメント加入状況
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/london-agreement/status.html

日本で論文によって刊行物にて公表し、新規性喪失の例外の適用を受けました。同じ発明を、新規性喪失の例外の適用を受けて欧州特許庁(EPO)へ出願することはできますか。

欧州特許条約第55条には「発明の開示は、欧州特許出願前の6ヵ月以内に行われ、かつ、権利者の意に反する公開であった、または国際博覧会への出品である場合に限る」と規定されております。従って、論文によって刊行物に公表した発明を、欧州特許庁へ出願しても、新規性喪失の例外は受けられません。つまり権利取得はできません。

参考情報:発明の新規性喪失の例外規定についてのQ&A集
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatumei_reigai/qa.pdf

2007年に出願した欧州特許出願が、2013年に許可されました。2008年にノルウェーが欧州特許条約の締約国になったようです。この欧州特許出願はノルウェーに対しても権利を有効化することが可能でしょうか。

欧州特許権を有効化できる国は、欧州特許出願日に締約国であった国だけです。ノルウェーは、2007年に欧州特許出願した時点で締約国に含まれていませんから、ノルウェーを追加指定することはできません。

PCT出願の国内移行を欧州特許庁に対して行います。欧州では出願維持年金制度があると聞きましたが、いつから支払を開始するのでしょうか。

欧州特許庁においては、3年目から特許付与されるまでの各年について、維持年金の納付が必要となります(PCT出願した年を1年目とします)。国内移行はPCT出願から30か月以内に行うため、国内移行時に維持年金の納付が必要となります。

欧州特許庁に対し、日本出願の優先権を主張した特許出願を行いました。欧州では出願維持年金制度があると聞きましたが、いつから支払を開始するのでしょうか。また、登録後の維持年金も欧州特許庁に支払うのですか。

欧州特許庁においては、3年目から特許付与されるまでの各年について、出願維持年金の納付が必要となります(欧州に出願した年を1年目とします)。出願した年より3年目から登録されるまでの年は、欧州特許庁に対して出願維持年金を毎年支払います。また、登録後の年金は、欧州特許庁ではなく、指定した国に対して年金を支払います。

ドイツで特許を取得する方法は、ドイツの特許庁へ直接出願する方法と欧州特許庁へ出願する方法とがあると思います。両方の出願が許可された場合、どちらも有効な権利となるのでしょうか。

同一の発明について、ドイツ特許商標庁への手続きと、ドイツを指定国とする欧州特許出願の手続きを並行させることは可能です。例えば、片方の出願の権利範囲が広く取れなかった場合、もう一つの出願で権利範囲を広めに取れるチャンスが発生します。尚、欧州特許とドイツ特許との両方が付与された場合、ドイツ特許は欧州特許の範囲と重ならない部分においてのみ、権利行使が可能です。

参考情報:ドイツの特許制度とそれを取り巻く環境 特許庁技術懇話会(多田達也)36ページ
http://www.tokugikon.jp/gikonshi/260/260tokusyu4.pdf

PCT出願経由で欧州特許庁へ国内移行手続(広域段階移行手続)を行う場合の審査請求期限はいつまでですか。

PCT国際特許出願経由で欧州特許庁へ広域段階移行手続を行う場合の審査請求期限は、国際調査報告(ISR)の公開から6ヵ月以内、もしくはEPOへの広域段階移行期限(31か月)のいずれか遅く終了するまでです。

パリ優先権を主張して欧州特許庁へ出願した特許出願の審査請求期限はいつまでですか。

パリ優先権を主張して欧州特許庁へ出願した特許出願の審査請求期限は、サーチレポート及び見解書の公開日から6か月となります。

ヨーロッパの全ての国において、実体審査を採用しているのでしょうか。

ヨーロッパの一部の国、例えばイタリア、オランダ、スイス等は、実体審査を採用しておりません。実体審査を採用していない国に直接出願された場合は、方式審査のみで権利が発生します。

欧州特許出願の実体審査に対して第三者からの情報提供が可能でしょうか。

欧州特許出願については、出願公開があった後は何人も特許性について情報を提供する(presenting observations)ことができます(欧州特許条約115条)。情報提供者は、実体審査で考慮される情報を提供することができるに留まり、審査の当事者にはなりません。日本特許出願と同じ運用です。

なお、下記URL経由で、情報提供することが可能です。
http://tpo.epo.org/tpo/app/form/

日本で特許出願Aを行った後、日本出願から10ヶ月後にパリ優先権を主張してヨーロッパ特許庁(EPO)への特許出願Bを行いました。特許出願Aから2年後、日本特許庁から単一性違反の拒絶理由通知が届きましたので、特許出願Aの一部を分割しました。ヨーロッパ特許庁からも同様の拒絶理由通知が届くと予想していますが、特許出願Bの分割期間はいつになりますか。

2010年4月1日より、ヨーロッパ特許出願の分割可能期間は、次の期間に限定されています。
 (1) 最先の出願に対する最初の通知(First Examination Report)から24ヶ月以内
 (2) 単一性違反による最初の通知(First Examination Report)から24ヶ月以内
 (3) 最初の通知を受けることなく特許査定となった場合は、特許が発行される前日まで

当社は欧州に商品を販売する中小企業です。当社はある商品に関する欧州特許出願して特許審査請求中です。しかし、その商品を欧州で販売する予定がなくなりました。日本特許庁では日本特許出願を取り下げると審査請求料が返還される制度がありますが、欧州特許庁でも欧州特許出願を取り下げると審査請求料が返還される制度がありますか。

欧州特許出願を取り下げると、審査手数料が返還されます。欧州料金規則10b条では、審査請求の返還について、以下のように規定されています。
(i) 欧州特許出願が審査部の担当する前に取り下げられ、拒絶され又は取り下げたものとみなされた場合には、全額。
(ii) 欧州特許出願が、審査部の担当した後であるが実体審査の開始前に、取り下げられ、拒絶され又は取り下げたものとみなされた場合には、75%相当額。実体審査が開始されたか否か不確実で、75%の返還がある場合にのみ出願を取り下げることを希望する出願人は、当該返還を条件として、取下をすることができる。
貴社の場合も、特許出願の審査が開始される前であれば、審査請求料が返還されます。

弊社では5年前にヨーロッパ(EP)特許出願を行いました。出願後、特許庁から何の連絡も届いていません。しかし、出願3年目から特許維持年金を支払っております。審査を早く進めるように催促できる制度はありますか。

ヨーロッパ特許庁での審査を催促する方法として、早期審査(通称:PACE(Program for accelerated prosecution of European patent applications))の請求が挙げられます。PACEによる早期審査は、EP特許出願が係属中であればいつでも申請が可能です。早期審査が請求された場合、審査部による出願書類の受領または早期審査の受理のいずれか遅い日から3ヶ月以内に、最初の報告書が発行されます。
また、EP特許出願の基礎となる日本出願があり、かつ基礎出願が特許査定となっている場合は、「日・欧特許審査ハイウェイ(PPH)」を利用して、審査を早めることも可能です。

明細書及び特許請求の範囲(クレーム)は、ドイツ語で欧州特許出願しました。その後欧州特許出願が許可となりました。指定国は、ドイツ及びフランスです。この2カ国で権利を有効にするためには、何語の翻訳文が必要になるのでしょうか。

2008年にロンドン・アグリーメント(特許を有効にするための翻訳文の提出を緩和する条約)が施行されました。

ロンドン・アグリーメントによると、ドイツでの権利を有効にするには、明細書及び特許請求の範囲を、英語・フランス語・ドイツ語のいずれかで提出する必要があります。今回の場合、出願時にドイツ語の明細書で出願を行っているため、明細書及び特許請求の範囲の翻訳が免除されます。フランスも同様ですので、明細書及び特許請求の範囲はドイツ語のままでよく、英語又はフランス語に翻訳する必要がありません。他の締約国は、「EPC締約国ロンドン・アグリーメント加入状況及び加入国の翻訳文提出要件」を参照してください。

欧州特許出願に対して許可通知が出ました。各国権利化する際にベネルクス3国については、手続の軽減するため、一括で権利化することができるのでしょうか。

ベネルクス3国は、「知的所有権に関するベネルクス条約に基づく施行規則」を締結しています。しかし、商標及び意匠に対する施行規則であるため、特許についてはそれぞれの国に個別に手続を行うことになります。

参考情報:知的所有権に関するベネルクス条約に基づく施行規則
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/benelux/tizai_kisoku.pdf

欧州には異議申立制度があると聞きました。異議申立期間について、詳しく教えてください。

異議申立期間は、欧州特許権の付与公告から9か月が異議申立て期間です(欧州特許条約99条)。何人も欧州特許庁に対して、特許の有効性について異議を申し立てることができます。欧州特許庁に対する手続の期間は、異議申立の終了期間までとなります。異議が却下された場合、出願人は審判請求を行うことが可能ですが、その場合は各国の特許庁に対して手続を行います。

ヨーロッパの特許権の存続期間について教えてください。また、存続期間は各加盟国で異なるのですか?

欧州特許権の存続期間は、欧州での特許出願日から20年と定められています(欧州特許条約63条)。
 また、存続期間は各加盟国において統一されております。

欧州特許権の権利を有効化した後、特許維持年金は、どの官庁に対して納付するのかを教えてください。

欧州特許権が付与された年の維持年金は、欧州特許庁に納付します。欧州特許付与された後は、権利を有効化した国の官庁に対して維持年金を納付します。

ドイツにも実用新案制度があると聞きましたが、登録要件などについて、詳しく教えてください。

日本と同様、ドイツの実用新案制度も方式審査のみで登録となります。また、日本の実用新案技術評価書に相当するサーチレポートを発行請求することにより、実用新案権の有効性を判断するのに考慮するべき引例のリストが通知されます。

参考情報:ドイツの実用新案制度
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/germany/zituyo_shinan.pdf

参考情報:各国の実用新案制度の比較
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/toushintou/pdf/um_wg_report/references03.pdf

ヨーロッパの一部の国では実用新案制度を導入していると聞いています。ヨーロッパの実用新案制度について教えてください。

ドイツ、フランス、イタリア等、EPC加盟国の一部の国では実用新案制度を導入しています。  詳しくは、特許庁の「各国産業財産権法概要一覧表をご覧下さい。尚、実用新案権の存続期間は各国ごとに異なります。
参考情報:各国産業財産権法概要一覧表 - 実用新案
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/pdf/sangyouzasisankenhou_itiran/2jituyou.pdf

欧州共同体意匠制度について教えて下さい。

ヨーロッパには、それぞれの国における意匠制度と、欧州共同体意匠制度の2つが存在します。
欧州共同体意匠制度では、意匠の新規性・非容易性などの実体審査は実施されず、方式審査のみで登録となります。欧州共同体意匠制度を利用することによる最大のメリットは、意匠権の保護がヨーロッパ全体に及ぶ点です。尚、欧州共同体意匠制度は多意匠制度を有しているため、類似する複数の意匠を出願する場合は、1つの出願に包括することが可能です。
欧州共同体意匠制度による意匠権の保護期間は、出願時から25年です。意匠権者は5年ごとに存続期間を更新します。

参考情報:欧州共同体意匠制度
http://www.iprsupport-jpo.go.jp/miniguide/pdf2/ecds.pdf

欧州共同体意匠制度では、無方式で登録になると聞きました。詳しく教えてください。

欧州共同体意匠制度には、登録制度(権利が出願から最大で25年間存続する制度)と、意匠が公知となった日から3年間の保護期間が与えられる制度(無方式制度)とがあります。無方式制度であるため、権利は公知になった日から自動的に発生します。しかし、無方式制度による意匠は、権利が発生した日の立証が困難であるため、権利の行使が難しい点が問題として上げられます。

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