知的財産制度Q&A



意匠とはどのような制度でしょうか。

意匠法第1条には、意匠の目的として「意匠の保護及び利用を図り、創作を奨励することによって、産業の発達に寄与すること」、
また、意匠法第2条には、意匠について「物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されております。
すなわち、意匠とは物品の外観を保護することによって、産業の発達に寄与する財産権となります。

参考情報:意匠制度の概要
http://www.jpo.go.jp/seido/s_ishou/chizai05.htm

意匠登録出願では、どのような物が意匠として登録されるのですか。

意匠の保護対象は工業製品(量産可能な物品のデザイン(意匠))であり、ペットボトルから高層ビルまでが対象です。日本意匠法は、美術工芸品(絵画、掛け軸など)は保護対象ではありません。
紙に描いた素晴らしいデザインであっても、それだけでは保護対象になりません。”物(物品)”のデザインであることが必要です。スマートフォンの形態も意匠の保護になります。その他、新規性を有するなど、一定の審査基準に適合する意匠が登録の対象となります。

どのような場合に、特許ではなくて意匠を取った方が良いのでしょうか。

例えば、発明品の外観に特徴があって技術的な効果が少ない場合は、意匠権によって、他人による同じ形状の商品の販売を防ぐことができます。さらに、意匠権の権利範囲は登録時の図面によって特定されるため、特許よりも他人の模倣を発見しやすいというメリットがあります。

特許権だけでなくて意匠権も取った方が良いのでしょうか。

1つの形状について特許権と意匠権とを併存させることは可能です。技術的な特徴を特許権で保護し、外観的な特徴を意匠権で保護する方法を取ることが可能です。収容容器であれば、収容容器の製造方法を特許権として保護しつつ、収容容器の外観を意匠権として保護する方法が挙げられます。例えば、アップルとサムソンとのスマートフォンの知的財産訴訟は、スマートフォンの特許権だけでなく意匠権も使われています。
また国内で製品を製造して海外に輸出している企業では、次のように活用しています。国内では特許権によって製品を技術的に保護し、海外(特に東南アジアなどの新興国)では意匠権によって製品の外観を保護する戦略を取っている企業もあります。

日用品製造のベンチャー企業です。外部のデザイナーに依頼して新しいデザイン(傘の絵柄)の傘を試作しました。傘の骨は従来品と同じです。傘のデザインは意匠登録出願した方が良いのでしょうか。

工業的に量産される実用品のデザインは、著作権による保護の対象ではなく意匠権で保護されます。傘のデザインも意匠登録すれば権利化できる可能性があります。侵害時の予防を確実する方法が必要であれば、意匠権として権利を維持することをお勧めします。

電気機器のベンチャー企業です。有機ELパネルを有する家庭用電話機を開発中です。来年発売するモデルは、2つの特徴があり、1つは受話器の耳当ての部分、もう1つは有機EL画面の表示(GUI:グラフィック・ユーザー・インターフェイス)です。それ以外は現在販売中の家庭用電話機と同じ外観です。このような場合、意匠権をどのように取るのが良いのでしょうか。

意匠登録第1356981号物品の一部分(電話の受話器の耳あての部分、有機EL画面のGUI)にのみ特徴がある場合は、部分意匠制度を利用する方法が有効です。耳あての部分を権利化することによって、他の電話機で同じ形態の耳当ての部分を利用した場合においても、意匠権が及ぶことになります。また、有機EL画面のGUIも部分意匠として登録出来ます。
意匠登録第1356981号は、Apple社のiPhone及びiPadなどでユーザーが矢印アイコンの上に指を置き、右方向に滑らせると、ロックが解除されるGUIを部分意匠で権利化しています。
  
意匠登録第1356981号の参考図から抜粋

参考情報:部分意匠に関するQ&A
http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/yokuar26.htm

ノートパソコンに配置されるキーボード部分とUSBのジャック部分との意匠登録出願を行いたいと考えております。同じ機種のノートパソコンに配置されるので、1つの意匠登録出願に含めることは可能ですか。

一つの部分意匠の意匠登録出願に、二つ以上の物理的に分離した部分意匠を含めることは出来ません。この場合、ノートパソコンのキーボードの部分意匠と、USBジャックの部分意匠とを、それぞれ行うことになります。

プリンターのフィーダー部分に係る意匠登録出願をしましたが、出願後、願書に「部分意匠」と書いていないことに気がつきました。「部分意匠」の記載を補正によって追加することは出来ますか。尚、意匠を受けようとする部分が判別できるように、フィーダー部分は直線、フィーダー以外の部分(意匠登録を必要としない部分)は点線で表しています。

出願時の願書に「部分意匠」が記載されていなくても、願書及び図面を総合的に判断し、意匠登録出願が部分意匠であることが導き出される場合は、願書に「部分意匠」の記載を追加する手続補正を行うことが出来ます。今回の場合、フィーダー部分は直線、フィーダー以外の部分は点線で表されているため、願書に「部分意匠」の記載を追加する補正を行うことは可能です。

ダンボール等を製造する中小企業です。日本国内で梱包材の意匠権を有しています。この度、外国で商品を販売することが決定したため、輸出先の国での意匠権も取得したいと思います。輸出先に意匠登録出願をする際に気を付けることは何ですか。

日本で意匠登録出願後に製品を販売開始している場合は、日本で公知になった内容によって新規性を失ったとして、輸出先での意匠登録出願が拒絶される可能性があります。このため、輸出国で意匠登録出願をする場合は、日本での意匠登録出願を基礎とし、優先権を主張して意匠登録出願を行うことが必要です。優先権を主張するには、日本での出願日から6か月以内に海外での出願を行う必要があります。
意匠登録出願に必要な書類は、出願する国によって異なります。また、意匠権の存続期間も日本の存続期間とは異なる場合もあります。

文具製造の中小企業です。外観に特徴あるスティックのりを発売したところ、ヒット商品となりました。発売の1ヶ月前に、雑誌に掲載されたことがヒットにつながったと考えております。しかし、この製品がヒットするとは予想していなかったため、発売前に意匠権の取得を怠っておりました。今から意匠登録出願をすることは可能でしょうか。

意匠においても、意匠を公開した日から6か月以内であれば、新規性喪失の例外規定の適用を受けられることがあります。意匠が公知になった方法は問われません。新規性喪失の例外規定の起算日は、販売日ではなく、最も早く公知になった日となる点にご注意ください。(今回の場合は、雑誌で商品が紹介された日が起算日になります。)

参考情報:意匠の新規性喪失の例外規定
http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/isyou_4_2_faq.htm

文具製造のベンチャー企業です。携帯電話のカバーデザインについて、意匠登録査定を得ました。しかし、ライフサイクルが早い業界です。商品のライフサイクルに合わせて登録料を納付することはできますか。

意匠は流行に左右されやすい側面があります。従って、特許とは異なり、意匠は第1年分の登録料(年金)を納付することによって権利が発生します。

1年ほど前に意匠出願をしました。まだ登録にはなっていませんが、意匠には公開制度があるのでしょうか。

意匠は、公開されることによって容易に模倣されてしまうといった不利益の方が大きいため、出願公開制度がありません。出願された意匠の内容は、登録された後で公開されます。

弊社は携帯電話メーカーです。携帯電話Cの形状の発明に関する特許出願Aと、携帯電話の形状に関する意匠登録出願Bとを同時に行いました。特許出願Aの図面及び意匠登録出願Bの図面には、携帯電話Cの図面が開示されています。特許出願Aの出願から1年半が経過し、特許出願Aの明細書が公開されました。意匠登録出願Bは未だ登録されていません。特許出願Aの公開によって意匠登録出願Bが拒絶される可能性はありますか。

意匠登録出願Bは、その出願よりも前に公然知られた意匠及び利用可能となった意匠があった場合は拒絶されますが、今回の場合、特許出願Aは意匠登録出願Bの出願日よりも前に公開されていた訳ではないため、特許出願Aによって意匠登録出願Bが拒絶されることはありません。

貴事務所に、4か月前に意匠登録出願をお願いしました。製品の発売日までに意匠が登録されないと困るのですが、特許庁からの応答がいつ頃になるかを調べる方法はありますか。

意匠登録出願を行った後、特許庁からの最初の応答があるまで、約半年から1年ほどかかります。詳しくは、特許庁の意匠審査スケジュールをご確認ください。どうしても気になる場合は、特許庁宛に審査状況伺書を提出して問い合わせることも可能です。

参考情報:意匠審査着手状況の問い合わせについて
http://www.jpo.go.jp/toiawase/isyou_jyokyo.htm

外国での意匠登録出願から2ヶ月後、パリ優先権を主張して日本に出願し、その1か月後に優先権証明書を提出しています。その2ヶ月後、日本出願について「2個以上の意匠が含まれている」として拒絶理由通知を受けました。分割出願を行おうと思っていますが、この場合、優先権証明書を提出し直す必要がありますか。

もとの出願時に優先権証明書が提出されている場合は、分割出願時に優先権証明書を出し直す必要はありません。

関連意匠という言葉を聞きました。関連意匠とは、どのような意匠ですか。

関連意匠制度とは、デザイン開発の過程で、一つのデザインコンセプトから複数のバリエーションのデザインが創作された場合に、各々のデザインについて独自の意匠権を得ることができる制度です。このため類似品を広く排除することができます。基礎となる"本意匠"に類似していなければなりません。また、関連意匠は、"本意匠"の公報発行の前日まで出願しなくてはいけません。

参考情報:関連意匠制度の見直し
http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/pdf/h18_kaisei/1-5.pdf

本意匠Aを出願した1か月後、本意匠Aに関連する関連意匠Bを出願しました。パリ優先を主張して関連意匠Bのみを外国に出願したいのですが、関連意匠Bの優先日はいつですか。また、いつまでに出願すれば優先権が認められますか。

関連意匠Bの優先日は、関連意匠Bの出願日です。つまり、関連意匠Bの出願日から6か月以内に外国に出願すれば優先権が認められます。

関連意匠の存続期間満了日はいつになりますか。

関連意匠の存続期間は、本意匠の登録日から20年となります。

秘密意匠という言葉を聞きました。秘密意匠とは、どのような意匠ですか。

秘密意匠制度とは、設定登録後最長3年の期間、登録意匠の内容を秘密にしておくことができる制度です。デザインは公開されると直ちに模倣、盗用の危険にさらされます。そこで秘密意匠制度を使って、発売日までデザインを秘密にしておくことができます。平成18年の改正により、意匠登録出願時に、秘密意匠を請求していなくても、意匠登録の第1年分の登録料の納付と同時に秘密意匠を請求することができるようにもなりました。

秘密期間を登録時から2年とした意匠出願をしました。意匠は無事に秘密意匠として登録され、8ヶ月ほど経過します。今の時点で秘密期間を1年に短縮することはできますか。

意匠権を秘密にする期間は、秘密期間内であれば短縮・延長が可能です。秘密期間を短縮するには、秘密期間満了の1ヶ月前までに、「秘密意匠期間変更請求書」を提出します。

参考情報:設定登録料納付と同時の「秘密意匠」の請求及びその期間変更
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/touroku/pdf/noufu_touroku/d2_6.pdf

外国で出願した意匠の優先権を主張し、日本で意匠登録出願を行いました。日本では意匠の内容は秘密にしておきたいと考えております。ところで、外国で出願した意匠が登録された為、公知になってしまいました。この場合、日本出願は秘密意匠にできないのでしょうか。

外国で意匠登録の内容が公開されたことを理由として、日本での秘密請求が認められないという制度はありません。つまり、日本で意匠登録の内容を秘密にすることは可能です。

弊社はA社の知的財産を管理する会社であり、A社が出願人となっている知的財産権の登録料などは弊社の名義で納付しています。A社が出願人となっているイヤホンのデザインBの登録査定謄本が届きました。弊社は、設定登録料の支払い時に証デザインBを秘密意匠として設定登録することは出来ますか。

設定登録時に秘密請求が出来るのは出願人(A社)にのみ限られます。実際の出願人ではない貴社は、登録時に意匠を秘密にすることはできません。

2006年11月1日に意匠登録出願Aをし、2007年6月10日に登録されました。ところで、2007年4月に、意匠登録出願の存続期間が15年から20年に延長されておりますが、意匠登録出願Aの存続期間は何年になりますか。

意匠権の存続期間の年数は、出願日の法律によって決まります。今回の場合、出願日が2006年11月であるため、出願当時の法律で定められた存続期間は登録から15年となります。従って、意匠登録出願Aの存続期間の満了日(登録日から15年)は、2022年6月10日となります。

ゲーム機の表示画面に関する特許権及び意匠権を有していました。先日、残念ながら特許権の新規性を否定する文献が発見され、特許権が無効審判によって消滅してしまいました。この場合、対応する意匠権も同時に消滅するのでしょうか。

特許権と意匠権とは別個の権利であるため、片方の消滅によって対応するもう一方の権利が自動的に消滅することはありません。特許権の新規性を否定する文献に記載されていた発明品の外観が、登録されている意匠権の外観の態様と同一または類似であっても、意匠権に対して無効審判が請求されない限り、意匠権は消滅しません。

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